ANALYSIS|EDUCATION
教育を読み解く
学校の大きさ、先生の数、かけているお金、学びの道具、卒業したあとの進路。県の教育のかたちを、一つの組で読み解きます。
知秋(教授)
ここでは、国の統計の手引きにならって「問い→計画→データ→分析→結論」の順に読み進めよう。県を選ぶと、下の段がすべてその県で埋まる。
1PROBLEM|問い
この県の学校は、全国の中でどんなかたちをしているか。
- 学級や学校の大きさと、先生1人あたりの子どもの数は、全国と比べてどうか。
- 子ども1人にかけている学校の費用は、学校の大きさとどう関係しているか。
- 高校を出たあとの進路は、県内の大学の数とどう関係しているか。
2PLAN|計画
何と比べるか
- 全国の中の位置:47都道府県の中で、各項目が平均からどれだけ離れているかを偏差値で並べます(平均50、標準偏差10)。
- 似た県:この組の項目の偏差値の並びがいちばん近い県を、計算で3つ挙げます(標準化した値どうしの距離が近い県)。似た県と見くらべると、全国と比べるだけでは見えない差が分かります。
- 関係:組の中の二つの項目を散布図に置き、相関係数と回帰直線で、そろって動くかを確かめます。
- 時間:毎年の数字がある項目は、最初の年を100にそろえて、全国と伸び方をくらべます。
3DATA|データ
使う項目と、その素性
| 項目 | 年 | 単位 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 1学級あたりの児童数(小学校) | — | — | |
| 先生1人あたりの児童数(小学校) | — | — | |
| 1校あたりの児童数(小学校) | — | — | |
| 複式学級の割合(公立小学校) | — | — | |
| 児童1人当たり公立小学校費 | — | — | 地方財政の決算から計算した値です。施設の建て替えがあった年は大きく動きます。 |
| 人口1人当たり教育費 | — | — | |
| 1人あたりの学習用PC台数(小学校) | — | — | |
| 高校卒業者の大学進学率 | — | — | |
| 地元の県の大学に入った人の割合 | — | — | |
| 大学の数(人口100万人あたり) | — | — | |
| 図書館で借りた本(1人あたり) | — | — | |
| 財政力指数 | — | — | 県の財政の余裕を示す指数(1に近いほど自前の税収でまかなえる)。教育の指標ではありませんが、費用を読むときの背景として置いています。 |
- 学校の費用は、学校が小さい(子どもが少ない)県ほど1人あたりが大きくなりやすく、手厚さだけを表すものではありません。
- 大学進学率は、県内の高校を出た人の進路です。県外の大学に進んだ人も含みます。
4ANALYSIS|分析
全国の中の位置(偏差値のプロフィール)
棒は平均(50)からの離れ方です。右へのびるほど値が大きく、左へのびるほど小さいことを示します。大きいことが良いとはかぎりません。
県を選ぶと、ここにプロフィールが出ます。
二つの項目の関係
伸び方
5CONCLUSION|結論
言えること
- 県を選ぶと、数字から言えることをここにまとめます。
言えないこと
- どの県の教育が「良い」か「悪い」かは、この組からは言えません。何を良しとするかは、数字の外の判断です。
- 二つの項目がそろって動いていても、片方がもう片方の理由とは言えません(人口の少なさなど、別のものが両方を動かしていることがあります)。
- 学力や子どもの満足度は、この組に入っていません。
知秋理論データの外に出た、まだ検証されていない仮説
知秋(教授)
大学が人口あたりに多い県で地元進学の割合が高いのは、「行ける大学が近くにある」という単純な理由のほかに、その県の高校生が県外の情報に触れる機会が少ない、という事情も混ざっているのではないか——というのがわたしの仮説だ。
一葉(研究員)
先生、それは数字から読めることですか。それとも、先生の仮説ですか。
知秋(教授)
仮説だ。だから札を付けてある。確かめるなら、こういう数字を見ればいい——県外から来た学生の割合(学校基本調査の出身高校所在地別)と、地元進学の割合を並べる。県外からの流入が多い県でも地元進学が高ければ、「近さ」だけでは説明がつかない。
一葉(研究員)
数字を並べたあとに「ここまでは言えて、ここからは言えない」と書いておくんですね。
知秋(教授)
うむ。言えないことを書いておくのも、読み解きのうちだよ。