ANALYSIS|INDUSTRY
産業の稼ぐ力を読み解く
どの業種が県の稼ぎを生み、どの業種に人が集まっているか。地域経済分析システム(RESAS)の「稼ぐ力分析」にならい、特化係数で県の産業のかたちを読み解きます。
1PROBLEM|問い
この県では、どの業種が全国とくらべて大きな割合を占めているか。
- 生み出した額(純付加価値額)の割合が、全国より大きい業種はどれか。
- その業種は、働く人の割合でも全国より大きいか。
- 働く人1人あたりの額(労働生産性)は、全国とくらべてどうか。
2PLAN|計画
何と比べるか
- 全国の中の位置:47都道府県の中で、各項目が平均からどれだけ離れているかを偏差値で並べます(平均50、標準偏差10)。
- 似た県:この組の項目の偏差値の並びがいちばん近い県を、計算で3つ挙げます(標準化した値どうしの距離が近い県)。似た県と見くらべると、全国と比べるだけでは見えない差が分かります。
- 関係:組の中の二つの項目を散布図に置き、相関係数と回帰直線で、そろって動くかを確かめます。
- 特化係数:業種ごとに「県の割合÷全国の割合」を、生み出した額(純付加価値額)と働く人の両方で出し、1人あたりの額も全国を1としてくらべます(地域経済分析システム RESAS の「稼ぐ力分析」と同じ見方です)。
- 増減の分解(シフトシェア分析):2016年から2021年に働く人が増えた(減った)分を、「全国の流れ」「産業の構成」「地域の分」の3つに分けます。産業の構成は、全国で伸びた業種を多く持っていたかどうか、地域の分は、同じ業種でも全国より伸びたかどうかを示します。
- 業種の集まり方(ハーフィンダール指数):働く人が少ない業種に集まっているか、多くの業種に散らばっているかを、業種ごとの割合の2乗の合計で表します。
3DATA|データ
使う項目と、その素性
| 項目 | 年 | 単位 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 全産業の1人あたり純付加価値額 | — | — | |
| 製造業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 卸売業・小売業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 情報通信業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 専門・技術サービス業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 宿泊業・飲食サービス業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 医療業・保健衛生の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 農林漁業の割合(純付加価値額) | — | — | |
| 製造業で働く人の割合 | — | — | |
| 製造業の1人あたり純付加価値額 | — | — | |
| 1人あたり県民所得 | — | — | 県民経済計算の値で、経済センサスとは年と範囲がちがいます。 |
- 経済センサス‐活動調査(令和3年)の1時点の値です。毎年の伸び方は見られません。
- 全産業からは、公務と、中分類の「社会保険・社会福祉・介護事業」を除いています(社会保険の事業団体の額が本部のある東京に集まるため)。医療は医療業と保健衛生だけで、介護は入りません。
- 特化係数は「県の割合÷全国の割合」です。1より大きいと全国より割合が大きいことを示しますが、額の大きさそのものではありません。
- 1人あたりの額は、働く人の数で割ったもので、働いた時間の長さは考えていません。
- シフトシェア分析は、平成28年(2016年)と令和3年(2021年)の経済センサス‐活動調査の事業従事者数を使います。2回の調査は対象のとらえ方に違いがあり、全国の増え方には調査の違いによる分も含まれます。全国の増え方は「全国の流れ」に入るので、県どうしの差(産業の構成・地域の分)を見るのに使ってください。
4ANALYSIS|分析
全国の中の位置(偏差値のプロフィール)
棒は平均(50)からの離れ方です。右へのびるほど値が大きく、左へのびるほど小さいことを示します。大きいことが良いとはかぎりません。
県を選ぶと、ここにプロフィールが出ます。
稼ぐ力の見取り図(特化係数)
業種ごとに、全国の割合を1としたときの倍率です。額は生み出した額(純付加価値額)、人は働く人、1人は働く人1人あたりの額。縦の線が1(全国と同じ)です。生み出した額の倍率が大きい順に並べています。
県を選ぶと、ここに業種ごとの特化係数が出ます。
働く人の増減を分ける(シフトシェア分析)
2016年から2021年にかけての、県の事業所で働く人の増減を3つに分けます。全国は全国と同じ割合で増えたとしたときの分、構成は業種の顔ぶれによる分、地域はそれ以外(同じ業種でも全国より伸びた・伸びなかった分)です。読み方は増えた分を、三つに分ける。
県を選ぶと、ここに増減の分け方が出ます。
市区町村でも分ける
全国の流れ・業種ごとの全国の伸び方は、県と同じもの(47都道府県の合計)を使います。市区町村では、人数が伏せられている(秘匿)業種があり、2回のどちらかの数字が無い業種は分解から外します。
業種の集まり方(ハーフィンダール指数)
働く人が、いくつかの業種に集まっているか、たくさんの業種に散らばっているかを1つの数で表します。業種ごとの割合を2乗して足したもの(ハーフィンダール指数)で、大きいほど少ない業種に集まっています。わかりやすくするため、「同じ大きさの業種が何個あるのと同じか」(指数の逆数)でも示します。集まっていることも、散らばっていることも、それだけで良し悪しは決まりません。読み方は同じ大きさの業種が、いくつあるか。
県を選ぶと、ここに業種の集まり方が出ます。
二つの項目の関係
5CONCLUSION|結論
言えること
- 県を選ぶと、数字から言えることをここにまとめます。
言えないこと
- どの業種を伸ばすべきか、どの県の産業が「強い」かは、この組からは言えません。特化係数は割合の偏りを示すだけです。
- 県の外へ売って稼いでいるか(移出)、県の中で回っているかは、この組には入っていません(RESASでは地域経済循環図で見ます)。
- 業種の割合と1人あたりの額がそろって動いていても、片方がもう片方の理由とは言えません。
あわせて見る:見くらべの間|10位は、近いのか遠いのか|二つの数字が、そろって動くとき|伸び方は、そろえてから比べる|町の得意を測る物差し